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本学県民健康増進支援センターの研究グループは、科学研究費助成事業において、「睡眠休養感」(睡眠の質を測る指標で、睡眠によって朝起きた時にどれだけ体が休まったと感じたかを評価したもの)がコロナ禍で改善されたことを、国民生活基礎調査の2019年と2022年のデータを用いて明らかにしました。本研究成果は、2025年1月25日に学術誌「Environmental Health and Preventive Medicine」にオンライン掲載されました。
日本は先進国の中で睡眠時間が最も短く、睡眠時間の確保と主観的な睡眠の質の指標である「睡眠休養感」の改善を目標にした施策が実施されてきましたが、「睡眠休養感」が悪い者が増える傾向にありました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な大流行(パンデミック)により、睡眠時間は増加し、睡眠の質は低下したことが報告されていましたが、日本人のCOVID-19パンデミックによる睡眠への影響は不明でした。
本研究は、国民生活基礎調査のCOVID-19パンデミック前の2019年とパンデミック中の2022年のデータを用いて、日本人におけるCOVID-19パンデミックによる睡眠への影響を検討しました。その結果、睡眠時間が6時間未満と少ない者の割合が有意に減少していましたが、睡眠時間の影響を調整後も、「睡眠休養感が悪い者」の割合が有意に減少していることが示されました。
本研究は、コロナ禍で日本人の「睡眠休養感」が改善されたことを示した初めての報告です。本研究に基づいて、COVID-19パンデミック中に獲得した「睡眠休養感」の改善が5類移行後も維持されるための施策を検討する必要があります。
本研究成果は2025年1月25日付で学術誌「Environmental Health and Preventive Medicine」にオンライン掲載されました。
掲載雑誌:Environmental Health and Preventive Medicine
論文名:Prevalence of nonrestorative sleep before and during the COVID-19 pandemic: based on a nationwide cross-sectional survey among Japanese in 2019 and 2022
「COVID-19パンデミック前とパンデミック中の非回復性睡眠の割合:日本人における2019年および2022年の全国横断調査より」
著者:Kimiko Tomioka, Midori Shima, Keigo Saeki
冨岡公子、嶋 緑倫、佐伯圭吾
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