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【研究成果のポイント】
概要
大阪大学大学院生命機能研究科の大学院生 塩田達也さん(細胞内膜動態研究室)、吉森保教授(生命機能研究科細胞内膜動態研究室/医学系研究科遺伝学)、本学生化学講座の中村修平教授らの研究グループは、モデル生物線虫を用いて、寿命延長に必須な神経系を起点としたオートファジー制御ネットワークを世界で初めて明らかにしました(図1)。
図1.研究成果概略
神経系のMML-1はGLT-5の転写を促進させ、全身レベルでのオートファジー活性化・活性酸素の蓄積制御をすることで、線虫の寿命を延長させる
線虫を含む様々な生物種において、生殖機能の低下により寿命が伸びることが知られています。この分子メカニズムはよく分かっていませんでしたが、研究グループの中村らは、以前の研究で生殖細胞欠損に応じて活性化し、寿命延長の鍵を握る因子として転写因子MML-1を同定していました(Nakamura et al., Nat Commun, 2016)。MML-1は細胞内分解システムとして知られるオートファジーを活性化することで寿命の延長に必須の働きをしますが、どの組織のMML-1の働きが重要なのか、どのようにオートファジーを活性化し、個体の寿命を制御するのかなどよく分かっていませんでした。
今回、研究グループは、線虫を用いて寿命延長におけるMML-1の組織特異的な解析を行い、神経系のMML-1の活性化が全身の老化抑制・寿命延長に必須の働きをもつことを見出しました。さらに、神経系MML-1を起点とした全身でオートファジーの活性を制御する組織間ネットワークを明らかにしました。今後、神経系の転写因子MML-1を起点とする本ネットワークの理解が進むことで、健康寿命延長や加齢性疾患の治療への応用につながる可能性があります。
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