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大阪大学大学院生命機能研究科大学院生の赤山詩織さん(博士後期課程、研究当時)、大阪大学大学院医学系研究科保健学科専攻 吉森保 寄附講座教授、奈良県立医科大学医学部生化学講座/オートファジー・抗老化研究センター 志摩喬之助教、中村修平教授らの研究グループは、様々なストレス下で活性化されて働く転写因子TFEBの新たな活性制御機構を明らかにしました。
図1研究成果概要
TFEBは細胞内分解システムとして知られるオートファジーやリソソーム機能のマスターレギュレーターとして知られており、TFEBの活性化により神経変性疾患をはじめとした種々の疾患の抑制や寿命の延伸などにつながることも報告されていることから、その活性調節機構が注目されています。
これまでTFEBは、飢餓やリソソーム損傷、ミトコンドリアストレスといった種々のストレスで活性化されることが知られていますが、これら様々なストレスに共通した、活性制御メカニズムについてはよくわかっていませんでした。
今回、研究グループは、ライブイメージング、オミックス解析などからリソソーム損傷時のTFEBの活性化にはATG結合系と呼ばれるオートファジー関連因子の一部の機能グループの働きに依存した機構と、これに依存しない機構の2つのモードがあることを発見しました(図1)。またこの2つのうちいずれかのモードがミトコンドリアストレス、DNA損傷、酸化ストレス、プロテアソーム阻害、リソソームCa2+チャネルのアゴニスト処理といった種々のストレス下のTFEB活性化で働くことを見つけました(図1)。これにより、TFEBの活性制御の統一的理解に貢献することや種々の疾患や老化の抑制へつながる可能性が期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Journal of Cell Biology」に、8月29日(金曜日)23時(日本時間)に公開されました。
雑誌名:Journal of Cell Biology
論文名:ATG conjugation dependent/independent mechanisms underlie lysosomal stress induced TFEB regulation
著者名:Shiori Akayama, Takayuki Shima, Tatsuya Kaminishi, Mengying Cui, Jlenia Monfregola, Kohei Nishino, Andrea Ballabio, Hidetaka Kosako, Tamotsu Yoshimori*, and Shuhei Nakamura* (責任著者)
DOI:https://doi.org/10.1083/jcb.202307079
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