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国産血友病A遺伝子治療を一歩前へ
機能を強化した改変型第VIII因子の開発

発表のポイント

  • 様々な動物種の血液凝固第VIII因子のアミノ酸配列を参照し、改変型凝固第VIII因子を開発した。
  • 改変型凝固第VIII因子は、高い活性と分泌性能、小胞体ストレス応答を著減するなど、様々な機能が強化された。
  • カニクイザルを用いた試験において、海外で承認・販売されている遺伝子治療薬Roctavian®の1/30の投与量でも治療域(基準値)を超える第VIII因子の活性上昇を達成した。

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改変FVIIIを用いた効果的な血友病A遺伝子治療

発表概要

 自治医科大学医学部生化学講座病態生化学部門・遺伝子治療研究センターの柏倉裕志准教授、大森 司教授、奈良県立医科大学小児科学の野上恵嗣教授、東京大学大学院理学系研究科の濡木 理教授、Nezu Life Sciences(現Nezu Biotech GmbH)の Tiago Lopes博士、大阪大学大学院工学研究科の内山 進教授、および予防衛生協会の研究グループは、血液凝固第VIII因子のアミノ酸配列の動物種比較から、凝固因子活性と分泌性能を飛躍的に高め小胞体ストレスを低減する、高機能な改変型血液凝固第VIII因子 (FVIII)の開発に成功しました。この結果、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた既存の血友病A遺伝子治療薬(Roctavian®)よりも、かなり少ないベクター用量で治療を実現し得る可能性が示唆されました。この高機能型FVIIIにより、血友病A遺伝子治療薬の投与量が削減できれば、治療費の削減や副作用リスクの低減に結びつき、実用性と安全性が高まる可能性があります。

発表論文

雑誌:Blood
題名:Engineered coagulation factor VIII with enhanced secretion and coagulation potential for hemophilia A gene therapy
著者:Yuji Kashiwakura*, Yuto Nakajima, Kio Horinaka, Tiago J.S. Lopes, Yuma Furuta, Yuki Yamaguchi, Nemekhbayar Baatartsogt, Morisada Hayakawa, Yuko Katakai, Susumu Uchiyama, Osamu Nureki, Keiji Nogami, and Tsukasa Ohmori* (*責任著者)
DOI: https://doi.org/10.1182/blood.2025028481

 

プレスリリース(PDF:595KB)

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